[E3 2004#147]元気のなかった韓国・台湾産MMORPG | - 2004/05/19 22:01 |
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毎年,このような"中堅"のタイトルが軒を並べる"Kentia Hall"の半分近くがミーティングルームとなっていて,明らかに出展企業数の減少が目に見えていたが,何よりその減少の影響が大きかったのがMMORPGジャンル。なんと,出展されていたMMORPGタイトルは10にも満たなく,そのうちのほとんどがβテスト中,またはすでにサービスを開始しているものばかりだったのだ。 現在は「EverQuest II」「World of WarCraft」「Tabula Rasa」などの欧米のメジャータイトルのリリースが近くなり,MMORPGの変革期といえる。とくに,グラフィックス面で大きく変わろうとするように,3Dグラフィックスが標準となり,「リネージュ」や「ラグナロクオンライン」のような2Dグラフィックスのタイトルは皆無に等しい。また,グラフィックス的に前世代的な感じを受けるタイトルでも,ユニークなシステムを搭載していたりと,全体的にMMORPGのジャンルが洗練されてきて,ここで新しい段階へと進もうとしている感じを受ける。 台湾や中国のデベロッパが,これを追随するかのように新タイトルを開発しているというのであれば,ある意味安心できる。しかし,非常に開発に時間と資金がかかる3DタイプのMMORPGに手が出せないとすると,これが今後のMMORPGというジャンルに与える影響は大きなものとなるかもしれない。(Seal) ■Game Infinity 韓国のGame Infinityは,E3 2004に日本で現在クローズドβテスト中のMMORPG「A3」の開発を行ったActoz Softなど15社のデベロッパが出展していた。印象的なのは,ブースの一角に設けられたイベントホールで,韓国の民族芸能を披露していたことだ。Kentia Hallの中央入り口から中に入ると,このイベントが目に飛び込んでくるというシチュエーションで,足を止めて魅入っている人が多かった。 MMORPGタイトルの出展は非常に少なく,前述のA3を始めとして,Eniumの「Spiritual Fortune」と「Maypan」,Mirinaeの「Khan」程度となっていた。これらのタイトルはすでに韓国で正式サービス/βテストが行われているものばかりで,「おおっ」と思わせるようなタイトルが皆無だったのも事実だ。ただし,MMORPG以外のタイトルが充実していたので,韓国=MMORPGという構図が変わってきている(変えてきている)のかもしれない。 ・Spiritual Fortune 2003年からβテストを行っているリネージュタイプのMMORPG。タイトルにも付けられているSpirit(精霊)を使い分けて戦うというのが特徴で,精霊にはEarth,Fire,Wind,Waterの4系統36種が登場し,相互に強弱関係がある。 また精霊は3段階に成長可能で,ほかのMMORPGでのペットのような扱いといえなくもないが,精霊は戦闘に特化しているものばかり。巨大なモンスターとの戦いでは,派手なエフェクトと相まって,非常に白熱するようだ。 これもリネージュとかぶってしまう要素だが,舞台となる"Noidheim"には,四つの城があり,それを奪い合う攻城戦や城主となった場合に税金を徴収できるシステムもある。 台湾のデベロッパが集まるTaiwan Digital Content Industry。ここには現在日本でもβテストが行われている"童話王国"のデベロッパLager Interactiveも軒を連ねて出展。MMORPGタイトルとしては,Easy Funが開発中の「Beast Deity」,Lager Interactiveの「FairyLand」(童話王国)と「King of Kings2」の計3タイトルのみの展示となっていた。 ・Beast Deity Easy Funが開発中のBeast Deityは,日本のアニメに登場するような3頭身キャラクター(イメージ的にはラグナロクオンライン?)が魅力の3D MMORPG。タイトルにある"Beast"のように,本作の舞台となる世界はDragon,Hawk,Hound,Ape,Bull,Tigerの6種族が支配していて,人間は少数種族となっている。キャラクターは用意されている12種から選択するというもので,この7種族が入り乱れる世界で冒険を繰り広げて他種族を圧倒していくというのが本作の目的となるようだ。ちなみに,Deityは"神"という意味。 操作体系はマウス左クリックで移動先地点の指定,右ボタン押しっぱなしでの視点変更など。戦闘はリアルタイムで,多彩なスキルを使ってモンスターを倒すという感じとなっている。ブースに展示してあったデモ機でプレイしてみた限りでは,プレイヤーを襲ってくるモンスターは皆無で,こちらから仕掛けないと戦闘は始まらなかった。また同種のモンスターがリンクしてくることもなかったので,ライト系に属するMMORPGなのかもしれない。 アイテムも多数用意されていることと,可愛らしいグラフィックスで,女性でも気軽に楽しめるタイトルの一つといえるだろう。 TQ Digital Entertainmentは,中国を中心に展開しているデベロッパ/パブリッシャの"Net Dragon WebSoft"のグループ会社。いくつかのタイトルを開発済みで,日本ではネットドラゴンジャパンが「幻創遊記」を正式サービス中だ。次回サービスインのタイトルと思われる「Conquer」(征服)のリリース時期は未定だが,以前聞いた限りではそろそろ情報が出てくる頃だろう。 ブースには4タイトルが展示してあったが,幻創遊記,征服,そして「Monster&Me」の3タイトルは,中国ですでにサービスインされ,もう一つの「Era of Faith」は,現在αテスト中というステータスだ。 ・Monster&Me 幻創遊記と同様のゲームシステムを採用したライトMMORPG。ペットの育成を重視しており,可愛らしいペットが20種以上用意されている。戦闘はクロスゲートに似たシステムで,エンカウント式で戦闘モードへ突入,そして制限時間内にコマンドを入力するとプレイヤーとモンスターが同時に行動するというもの。これも幻創遊記と同様だが,戦闘は"Fight"ボタンを押下して行うという,プレイヤーが能動的にしなければならないのが特徴で,キャラクターを成長させたい場合,世界を冒険したい場合など,プレイヤーがやりたいことをしていけるのだ。 チャット主体のMMORPGといえるので,のんびりと友人達と楽しむにはいいかもしれない。 ・Era of Faith D&Dスタイルを採用したと謳われているMMORPG。しかし韓国産MMORPGの一般的なスタイルのゲームシステムとなっているので,「これぞD&Dのシステム!」と感じるものは,キャラクターのステータス程度だ。 キャラクターは,Warrior(Human),Mage(Darkelf),Archer(Elf)の3クラスしかなく,「Diablo」のように種族が固定(性別はそれぞれ選べるので計6種)されている。多彩なスキル種類とどのスキルを伸ばしていくという部分で個性を出していくコンセプトのようだ。 キャラクターやモンスターは比較的大きく表示され,グラフィックスはよく作りこまれている感はあるが,とくに"これだ!"という要素は見当たらなかった。先日αテストが開始されたばかりなので,これからどのように開発が進んでいくかによって,注目タイトルとなるかどうかが変わってくるだろう。 |