[E3 2004#069]悪のリーダーが年中無休で正義の味方をやっつける「Evil Genius」 | - 2004/05/15 16:52 |
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本作の制作者にして,天才青年の異名を取るゲームクリエイター,デミス・ハサビス氏のスケジュールの都合でそうなってしまったのだが,長いイベントもやっと終わってホッとしたのだろう,終始リラックスムードでインタビューは進み,かえってこちらには有り難い時間帯だったようだ。 これまでにも何度かお伝えしてきたように,「テーマパーク」で開発者としてデビューしたハサビス氏が,自らの開発会社"Elixir Studios"による2作めのソフトとしてEvil Geniusの制作を正式発表したのが,2003年のこのE3でのこと。あれから1年。何がどれだけ進んだのだろうか? 2004年9月にVivendi Universal Games社から発売予定のEvil Geniusは,日常の価値観を180度ひっくり返し,イギリス風のブラックなユーモアで味付けした,一風変わったゲーム。プレイヤーは悪の組織のリーダーとなり,次々にやってくる迷惑千万な正義の味方をあの手この手で処理しつつ,目的となる最終兵器を開発しなければならないのだ。 プレイヤーが操れるのは,小太りでハゲのマクシミリアンか,やせぎすで,見るからにヒステリックな女性アレクシスのいずれか。どちらももちろん悪の天才だ。 とはいえ,まずは,とある南の島の地下に作られた秘密基地を増築したり,スパイを取り除いたりするのが先決。今日もまた,CIAかFBI,あるいはKGBか,ともかく,どこかから送り込まれたスパイが隠しカメラで基地の様子を撮影をしているではないか! こうした小物スパイどもを放置しておくと,彼らの情報でさらに大物スパイだとか特殊部隊だとかがやってくるので,早めの処理が肝心だ。 そこでスパイ退治のため,毒殺専門の女医を使うことにする。ところが,ここに問題が一つ。敵スパイの死体は自動的に冷蔵庫に保存されることになるのだが,冷蔵庫にはキャパシティがあり,それ以上にスパイを殺してしまうと死体が廊下に溢れ,やがて腐乱して基地の環境が悪化し,部下の健康に問題が出てくるのだ。 なんというか,冗談のような,それにしては変に筋が通っているような話だが,ハサビス氏の早口の説明は澱みがなく,その態度はいたって生真面目。笑っていいやら,真剣に頷いていいやら。 そうこうするうちに,我が秘密基地にまたまた正義の味方が侵入。上半身裸のその男の名前は,ジェット・チャン。カンフーの達人だ。正義に燃えたやつは,悪のリーダーにとって実に近所迷惑だというのがよく分かる。なんとか多大な努力を払ってチャンの捕獲には成功したものの,"彼を殺さず正義の味方を辞めさせたい"というのが,次のミッションである。ゲーム中,こうしたミッションが次々に現われ,それをクリアすることで,悪のリーダーとしての経験値が高まり,ひいては,部下の忠誠心や悪人としての名声も得られるといった具合だ。 そこで,図書館に行ってチャンの経歴をチェック。そこには,チャンの師匠がネパールで暮らしているという情報が書かれている。チャンのようなスーパースパイは数人いて,いずれも悪の組織にとっては煩わしい連中だが,全員,何かしら小さな弱点を持っているのだ。チャンの弱点を知っているのはおそらくその師匠に違いない,ということで,さっそく部下をネパールに派遣して師匠を誘拐。さらに拷問して,奴の弱点を聞き出すのだ……。 まあ,悪のリーダーというより,悪の中間管理職という雰囲気の忙しさなんだけど,そんな不思議な魅力が数多く詰まったEvil Genius。日本のゲーマーに,こうしたゲームがどう受け取られるかは未知数だが,元気いっぱいのハサビス氏を見ると,ぜひうまくいってほしいと個人的に思ってしまった。(松本隆一) →「Evil Genius」の記事一覧は,「こちら」 © All material copyright Elixir Studios Limited 2003. All rights reserved. Evil Genius is a trademark of Elixir Studios. Vivendi Universal Games and the Vivendi Universal Games logo are trademarks of Vivendi Universal Games, Inc. in the U.S. and/or other countries. |