[E3 2004#029]残虐,陰惨,無秩序なベトナムを描いた「ShellShock」 - 2004/05/14 15:44

 それまで凡作に見えたタイトルが,たったひと言で非常に気になってしまう。なんてことがよくあるので,いい話を聞けるE3は油断ならないのだ。
 「ShellShock:Nam'67」というベトナム戦争アクションが展示されていたEidosブース。展示されていたのがXbox版ということもあってか,それほど綺麗な画面にも見えず,遊ぼうにも操作がやたら難しく(マウスとキーボードに慣れた人にXboxでのプレイは酷だ),最初は思わずスルーしそうになってしまった作品だった。

 だが,同社のブースで「Nam'67は,地獄の黙示録のようなベトナム戦争のどす黒い部分を描き出した作品なんですよ」なんて話をチラリと耳にした途端,本作は筆者にとって2004年のE3の重要タイトルとなってしまった。
 「麻薬(問題)なども取り扱っているので,日本では発売できるかどうか……」とまで言われた日には,心はまさに"Shock!"である。

 本作は,訓練を終えたばかりのルーキーとしてベトナム戦争に参加する,三人称視点のミリタリーアクション。戦場での無秩序や残虐行為,民間人を巻き込んだ陰惨な命の奪い合いといった,ベトナム戦争の暗部をあえて大胆に取り入れているのが本作の特徴だ
 ミッション内容は,大規模な総力戦から闇夜の暗殺任務まで多岐に渡る模様。現実味を帯びた,"極限状態での戦闘"というものを味わえるという。
 ナパーム弾や地下トンネル,ブービートラップといったベトナム戦争らしい要素は,ほぼすべて取り込まれている。傷ついて倒れたAI兵士が,それでも戦おうとしたり,痛々しくもがき苦しんだりといったアクションも見られるらしい。

 Xbox版では,プレイヤーは一人の兵士を操作して戦闘ミッションに挑む。味方兵はAIで動き,いかにもベトナム戦争映画らしい号令や罵声を飛ばしながら駆け回る姿は,なかなか良い雰囲気を醸し出していた。一方の敵兵は四方八方から現われるものの,少々弱すぎるようで,恐怖は感じられなかった。これは低めの難度に設定されていたためだろう。

 PC版は,PlayStation2版やXbox版と同じく,2004年夏頃の発売が予定されている。この時期はベトナム戦争タイトルが多く,シングルプレイ専用の本作は少々苦しい立ち位置かもしれない。だが,恐怖と悲劇がたっぷり詰まっているという言葉が本当なら,本作はきっとベトナム戦争ファンを満足させてくれるのではなかろうか。
 にしても,見た目はやはりあまりにも地味だ……。ここに掲載している画像も十分地味だが,これらはすべてイメージ画像で,実際のゲーム画面はさらに地味なのである。(Kawamura)

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