[E3 2004#026]EQ開発者達の新MMORPG「Vanguard」を見た! - 2004/05/13 23:10


 E3 2004のMicrosoft社のブースは,大きく二つに分かれれている。一つは来場者すべてに公開されている場所で,Xboxタイトルを中心に紹介している。もう一つはメディアなどアポイントメントのある来場者のみ入れる場所で,開発スタッフが直々にメディアに対して各タイトルの紹介を行っているのだ(厳密にいえば,この二つとは別に設けられた「Games for Windows」というスペースも同社のブース)。
 後者はさらにタイトルごとに小さい部屋に分かれていて,そこを見る限りはPCタイトルは2作品。「Microsoft Dungeon Siege II」と「Microsoft Zoo Tycoon 2」である。どちらも世界的なビッグタイトルであり,「さて気合を入れて取材しよう」と思っていると,これらの部屋とは明確に区別された,特殊な部屋に案内された。そこに展示されていたのは,なんとこれまで数点のアートワークしか公開されていなかった「Vanguard:Saga of Heroes」(以下,Vanguard)だったのだ。

 先に簡単にVanguardについておさらいしておこう。本作は,人気MMORPG「EverQuest」の開発に携わったBrad McQuaid氏(右の写真の左側)とJeff Butler氏(右の写真の右側)の二人が設立した,Sigil Games Online, Inc.が開発中のMMORPGだ。
 これまで正式なリリースは一度出たきりで(「こちら」参照),ほとんど情報はないものの,開発スタッフ達による「第3世代MMORPG」(ちなみにまだオープンβテストすら始まっていない「EverQuest2」や「World of Warcraft」まで第2世代にカテゴリされている)とか,「ナンバー1になることしか考えていない」などの強気な発言の数々も話題となり,かなり注目されているタイトルだ。

 さて本作が展示されている部屋に入ると,そこで待っていたのは,くだんのMcQuaid氏およびButler氏。またもや,McQuaid氏の「Vanguardは,次世代のMMORPGなんだよ」という発言から始まった。なお撮影は一切不可だったので,その中で十数分に渡って聞けた話を,極力文章化してみよう。
 用意されていたのは,4台のPC。そのうち3台でVanguardが起動されていて,それぞれダンジョン内,街,草原のシーンにセッティングされていた。
 残りの1台(ノートPC)には,どうやら全体マップらしきものが表示されている。これを見る限り,どうやら一つの大きな島が舞台になるようだ。この地図には目算したところ8×14程度の升目が書かれていたのだが,この一つの升目が2km四方の広さというから,かなりの広さを有しているのは間違いない。
 さて実際に本作が稼働している3台の画面を見てみると,驚くほどではないものの,確かに独特の色合いが魅力的なのが分かる。「この3か所はすべてアーリーステージで,複雑にたくさんの建物があるわけではなく,比較的シンプルな作りになっている」とのことだが,それでも十分現実味のある,あまりゲームっぽくない町並みだ。なんでも,本作に登場するすべての建物は,中までしっかりと設計されており,当然すべて入ることができる。またテクスチャが細かいのも特徴で,どれだけズームしても,その材質を感じさせていた。
 ちょっと驚いたのが,煉瓦の壁。煉瓦なのに繰り返しのパターンではなく,実によく"質感"を感じさせてくれた。

 ここでMcQuaid氏が繰り返し述べていたのが,その色彩の繊細さだ。可能な限り実世界の色彩を再現しているというのだ。また本作のアートワーク(画像下段左参照)を公表したとき,この世界観を「実現できるわけがない」といわれたそうだが,「あの世界,あの雰囲気ををそのまま,完全に再現できる」と息巻いていた。

 ちなみにグラフィックスエンジンは,さまざまなバージョンのUnrealエンジンを組み合わせ,さらにたっぷりとモディファイしたものを使用しているとのこと。なんでもエンジンのチューンに18か月も費やしたとのことで,重力感や空間の広がりの表現力がグッと増している(実際,α版でもある程度実感できた)。
 また魚を追いかけて捕まえたり,建物からジャンプオフできたり……という行動の自由さも,このエンジンのおかげだろう。

 さて街の画面を見ると,……NPCが空を飛んでいる。ちなみにこの街は,見た感じ中世ヨーロッパ風なのだが,Butler氏によると,「"この街は"中世ヨーロッパ風」。ほかにもいろいろな景色を見られるのだろうか。
 ここでちょっと気になったのが,Butler氏の「クエストを解くと,こういうところに行けるようになる」「ここは実際に行ける世界」という言葉。具体的にはどういうことを指すのだろうか?

 ダンジョンの画面を見ると,キャラクターの大きさから考えて,非常に天井が高いのが分かった。モンスターとの戦闘も見せてもらったが,これまた巨大なモンスターと二人のキャラクターが戦っているのだが,実にスムースな動きを見せていた。
 ちなみにこの手のダンジョンにはエレベータのようなものがあり,一方の箱に荷物を積むことで,もう一方に乗っているキャラクターを情報に運ぶ,なんてこともできるようである。

 さて話は変わって,乗り物について。馬や船に乗れるとのことだった。また船に乗って積み荷をあちこちに運ぶことで,交易も可能とのこと。"交易ばかり"というプレイスタイルも大いにアリというから,面白い。

 そのほかに覚えていることを列挙しておこう。各キャラクターは各種スキルを覚えることができ,スキルレベルはマックスで40。どうやら,一つのキャラクターで,すべてのスキルを40にすることも不可能ではないようだ。
 各種クラフトは,"クラフター"が行うことができる。このクラフターというのはクラスのようなもので,キャラクターメイキング時に,「クラフター」か「冒険者」を選ぶことになる。冒険者を選んだ場合,クラフトはできない。
 PvP(対人戦)は可能だ。ただしサーバーごとに制限があるとのことで,PK行為の嫌いな人は,PvPのないサーバーを選べば良い。
 プレイヤーキャラクターが選べる種族は,ウルフマン,ハーフジャイアント,ヒューマン,ドワーフ,ハーフリング,エルフ。ファクションについて存在を聞いてみたら,「あるよ。……すっごいのが(笑)」(McQuaid氏)。

 あまりにもブース内にいられた時間が短く(それ以前のアポイントメントが押していて,この部屋に入ったときは,すでにE3初日終了直前だったのだ),この原稿も同様に駆け足になってしまったが,幸いE3はあと二日残っている。forGamer編集部では本作についてもっと探るつもりなので,お楽しみに。(Iwahama)

→「Vanguard:Saga of Heroes」の記事一覧は,「こちら」

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