[E3 2004#008]Vivendiが贈る最高画質FPS「F.E.A.R.」 | - 2004/05/13 16:54 |
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2003年のE3では,Vivendi Universal Gamesはクローズドのルームに多数のタイトルを用意していたが,今年はなんとわずか1本のみ。そのたった1本の隠し玉が,これから紹介する「F.E.A.R.」だ。撮影厳禁の完全クローズドルームでの公開である。 これは,かの「エイリアンvs.プレデター」を手がけたスタッフが開発中の新作FPS。タイトルのF.E.A.R.とは,"First Encounter Assault Recon"の略である。また"恐怖"の英単語「FEAR」とのダブルミーニングであることは,いうまでもないだろう。そう,本作はミリタリーアクション&ホラーというジャンルとなる。このあたり,「エイリアンvs.プレデター」のスタッフが得意なジャンルなのは間違いない。 我々が通されたのは,わずか6人が鑑賞できる薄暗い特設ルーム。大抵,こういう場では用意されたムービーファイルが上映されるものだが,今回はムービーではなく,スタッフの人間が目の前でプレイしている映像を見ることができた。 一応説明しておくと,リアルタイムでプレイする映像を見せるというのは,ムービーファイルを上映するよりもはるかに度胸のいる行為であり,よほどの自信の表れということになる。ムービーなんてものは,いくらでも加工編集できるのだから。 夜間のビル街を飛ぶヘリの機内から始まる,「F.E.A.R.」のプレイシーン。このはるか眼下に見える夜景は,ビルの1軒1軒がすべて描き込まれている気がしてならないほどだったので,ぜひヘリから飛び降りてもらいたいと願ったのだが,やがてとあるビルの屋上に到着。主人公がビルに降り立つと同時に,ヘリから屋上のドアへ強烈な機銃掃射が行われ,ビル内に突入。中ではテロリスト集団(?)と,それはそれは壮絶な銃撃戦が繰り広げられる(敵兵士のAIや物理演算も見事だったが割愛)。やがて光学迷彩の敵も現われ,その透明感もさることながら,何より多彩な体術の数々(壁を登ろうともしていた)に感心させられた。 しかしBGMやSEが妙にホラー映画調(ア〜とかヒャ〜とか)だと不思議に思っていると,やがて行く手に銃撃戦の結果とは思えない惨殺死体が目に付くようになってくる。最後は人間ではない何者かが登場して,主人公を含む人間全員を殺したところでイベントシーンに切り替わり,3名の武装兵が謎の少女のシルエットに殺されてハイお終いとなる。 実に月並みで申し訳ないが,本作を初めて目にして感じた,その強烈な美しさに対する感嘆だ。「今まで見たこともない未体験の美しさ」とは言わない。だが目の前で当たり前のように動いていた本作のグラフィックスは,現在リリースされているFPSのクオリティとは明らかに異なる,次世代の美しさを誇っていた。ちなみに3Dエンジンは新型のオリジナルで,今のところ無名とのことである。 先にも述べたとおり,我々が見たのは目の前でプレイしていた映像なので,「ムービーやスクリーンショットではキレイだったのに,実際に動いているのを見てみたら大したことなかった」という,よくある詐欺のようなプロモーションではない。ここに掲載しているスクリーンショットのクオリティで,当然のように動いていたのだ(残念ながらマシンスペックは不明)。単純な話,初めて「DOOM III」や「HALF-LIFE 2」を目にしたときは「まるで未来のFPSだ」とドキドキしたものだが,すでにあのクオリティは未来のものでもなんでもなくなってしまったようだ。 本作は単に静止画が"おキレイ"なだけではなく,動いている最中のエフェクトが自然かつダイナミックな点にも注目したい。ショットガンをブッ放すたびに爆煙が上がり,ガラスは粉々に砕け散り,人は大量の血を撒き散らして壁や床を真っ赤に染め上げる。それらのエフェクトがあまりにもド派手なため,実をいうと何が起こっていたのかよく見えなかったほどだ。とくに血糊に関しては相当な自信があるようで,大殺戮シーンや大量の血でベチョベチョの部屋などもあったので,ゴアシーン大好きという人は期待してほしい。 また,本作が一見ミリタリー系であるのにパレットタイムを採用していた点もユニークだ。もちろん,一時的にスローモーションになるというものだが,あまりにも煙などのエフェクトが多用されるため,ショットガンが吹いた煙をグルリと見て回るなどの新鮮な映像を楽しめる。 「どういう条件でパレットタイムを発動できるのか」と尋ねたところ,「まだ決まってない」という答えが返ってきた。今回使用したものはデモ用なので,あまり詳細は固まっていないとのこと。スローモーションのままジャンプすると,空中を歩くように足をバタバタさせるシーンも見られたりして,実に楽しみな要素である。足をジタバタさせたジャンプ状態で,相手を蹴り倒すといったアクションもある。 発売は2005年。だいたい今から1年後とのことだ。ちなみに「F.E.A.R.」というタイトルと,ラストに突然何の脈略もなく少女のシルエットが登場したことから,もしかしてハリウッド版「リング」と関係があるのではないかと聞いてみたが,無関係とのことであった。これは次なるFPSの期待作としてマークしたい。(Kawamura) →「F.E.A.R.」の記事一覧は,「こちら」 |