[GDC2004#09]プロさえうならせる,キラりと光る独立系ゲームソフト達 | - 2004/03/27 20:01 |
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Independent Game Festival デベロッパーズチョイス・アワードの前座として行われるIGF(Independent Game Festival)で大賞に選ばれたのは,「こちら」でも報じたようにS2 Games社の「Savage」。優勝賞金1万5000ドルに加えて,スポンサーのIntel社によるワークステーションが贈呈された。Savageに関しては,本誌でも何度となく紹介しているので,ご存知の読者も多いことだろう(Savege記事一覧は「こちら」からどうぞ)。 GDCのイベントフロアには,このほかにも最終選考に残っていた作品が一同に展示されたブースが用意されている。入場者が自由にプレイできるようになっており,プロの開発者たちが目を見張るようなクオリティの高さを誇るゲームも多い。今年は,学生部門とフラッシュなどを使ったウェブゲーム部門も追加されていて,大きな企業の資本に頼らない独立系のゲーム開発者たちの自慢の作品が公開されていた。 以下,筆者が個人的に気になった作品をいくつか紹介してみよう。 Bontago(http://www.allwest.net/~sanderso/) Digipen社 (画面は右) フィールドと呼ばれるお盆状のマップの上に,最大で8勢力が戦い合うストラテジーゲーム「Bontago」は,大賞にこそ選出されなかったものの,アイデアで多くの開発者を唸らせていた。ルールは,プレイヤーに一定期間で配給されるブロックを使って自分の地域の影響を増やし,最終的にはマップ上のすべての旗のある場所を勢力下におくというゲームである。ブロックを高く積み上げるほど大きな影響範囲になるが,逆に敵の攻撃には脆くなる。攻撃とは,ランダムで支給される火山や地震,ミサイルなどの戦闘用ブロックである。 非常に簡単にプレイできるようになっており,最大で8人のプレイヤーが同時対戦することも可能。1人でドミノ倒しを作ってみたり,ブロックを積み重ねたりしてるだけでも十分楽しい。Bontagoは,Digipenというゲーム専門学校の通う学生のプロジェクトとして7か月で開発されたもので,公式サイトに行くとフルゲームがダウンロードできる。デモを見せてくれた制作者に「面白いしもったいないよね」と声を掛けると,「ソースコードまでは学校も手出しできないから,卒業したら改良して売るよ」と元気に話していた。 ※興味を持った人は公式サイト「こちら」からどうぞ。 Yahoho!Puzzle Pirates (http://www.puzzlepirates.com/) Three Rings Design社 (画面は左) パズルとMMORPGを組み合わせた意欲的な作品が,この「Yahoho!Puzzle Pirates」。会場からほど近いサンフランシスコからのエントリーだったためか,6人ほどの開発者たちがパイレーツ風の衣装に身を包んでのしのしと歩いていたが,ゲーム自体はキュートなグラフィックで完成度も高い。 Yahoho! Puzzle Piratesは,一見するとクロスゲートに似た感じのアイソメトリックのカメラ視点での2Dグラフィックス画像で,何百人もの可愛いキャラクターが大海原に点在する島を行き交う。プレイヤーはほかのプレイヤーと,ソードファイトや航海中での戦闘や競争が行われるたびに,画面左に表示された異なる種類のパズルゲームで遊ぶことになる。これらのパズルゲームをこなしていくことで稼いだポイントによって,勝負が決定されるのである。 ロールプレイングゲームのような経験値の概念はなく,戦闘ばかりでなく島と島との間で交易をすることも可能。蓄えた資金で,好きなコスチュームや帽子,マントなどの衣装はもちろん,ペットを購入することも可能だ。戦闘は,最大で5人までのクルーで交戦できるようになっていて,船上においてはナビゲーターやキャノンなど分担して敵と競り合うのが楽しい。 Fasade (http://www.interactivestory.net/) Georgia Institute of Technologies (画面は右) 「Fasade」は,ジョージア工科大学で開発されている人口知能を利用した学術ソフトで,今回のIGFに出展されているのは意外。単なるゲームではなく,「インタラクティブ・ドラマ」として2002年のSIGGRAPHで発表されたこともある。そのままゲームとして楽しむのは難しいが,エージェント(NPC)とのコミュニケーションによってストーリーが刻々と変化し,プロの開発者の中でも一つの方向性として高く評価されている。 Fasadeは,プレイヤーがグレースとトリップという夫婦のマンションに遊びに来るというオープニングで始まるが,その後にどう発展していくかはプレイヤーがタイプするメッセージで決定する。このエージェントが,文章や文字を非常に高いレベルで認識することができるのが大きな特徴だ。プレイヤーが何も話さなくてもグレースとトリップが会話を続けるという仕組みで,プレイヤーのメッセージに反応しては大きく物語が変化していくこともある。筆者が横から眺めていたプレイヤーのデモでは,度重なる挑発によりグレースとトリップが離婚話を持ち出すほどの口論にまで持ち込んでいた。 Dr. Blob's Organism (http://digital-eel.com/organism/) Digital Eel社 (画面は左) ブロッブ博士の研究室で,溶液がこぼれて実験中の単細胞生物が肥大化。それを食い止めるために,さまざまな攻撃で破壊するのが,2D型シューティングゲーム「Dr. Blob's Organism」でのプレイヤーの役目である。 このゲームの基礎は,数学の権威であるコンウェイ博士の「ゲーム・オブ・ライフ」を基礎にしており,緑色の単細胞生物が核を中心にウネウネとくねりながら成長していく。プレイヤーはマシンガンや電波などの武器を使い,標的部分にカーソルを合わせて攻撃する。複雑な操作はなく,とにかくマウスの左ボタンを連打し続けるという往年のシューティングゲームを復活させているのだ。 合計で20レベルが用意されていて,単細胞生物も「増殖加速」や「分裂」など五つの技で対抗してくる。プレイヤーも,レベルごとに特殊な秘密兵器が使えるようになっていて,肥大化していくのを阻止すれば良い。BGMにも凝っていて,曲目は20種類ほどと充実しており,MP3ファイルなどで好みの音楽を選曲することも可能だ。 |