2003年のECTSでひときわユニークなPCゲームだったのが，ロシアの販売会社1C Companyが展示していた「Rig' n' Roll」だ。
　ヨーロッパでは"Hard Truckシリーズ"でお馴染みのSoftLab-Nsk社が開発しているこの作品は，"コンボイ"とも呼ばれる巨大な18輪トラックを操縦するドライビング・シミュレーションというだけでなく，実際に運送会社を起業してトラックの出入りを切り盛りするという経営マネージメント，さらにはミッションの進展を覆すようなライバルや裏切りが出るといったストーリーも備えた意欲作だ。

　Rig' n' Rollでは，サンフランシスコからサンホゼ，ロサンゼルス，そしてサンディエゴに至るまでのカリフォルニアの地形を忠実に再現しており，プレイヤーは何百kmもの道のりを，ハイウェイ101号とハイウェイ5号を使って何時間もかけて輸送活動を行う。ミッションは，主に指定された時間までに物資を届けるというような内容になるようだ。
　今回公開されたα版は，サンフランシスコとロサンゼルスの中心街で実際にトラックを走らせるというもので，ビルや陸橋などが実物そっくりに再現されているのが分かった。
　速さを競うことが多くなりそうだが，スピードを出し過ぎると車体の重みで操作性が一気に落ちるなど，普通のドライビング・シミュレーションにはない感覚を楽しめる。ほかの車とぶつかる"当たり判定"はまだ装備されていなかったものの，壁に当たるとドアやバンパーが外れたりするなどダメージが反映されるようになっている。また，ボディがへこんだりというディフォメーションマッピングも施されており，なかなか本格的なゲームエンジンになっているのが分かった。
　経営シミュレーション要素としては，トラックを購入してドライバーを雇うなどし，また事故で故障したトラックは修理する必要もあるようだ。ストーリーを牽引すると思われるイベントが，どのように発生するのかはデモの担当者は説明してくれなかったが，アイデアは非常にユニークだといえるだろう。
　発売は，ロシア圏でクリスマスまでのリリースが予定されている。（奥谷海人）