「ウルティマX オデッセイ」ついに正式発表!#5 | - 2003/08/23 19:16 |
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"徳システム" "昇天システム",さらにはOdyssey Adventure Systemと名付けられたクエストシステムの開発によって,ウルティマらしさを持ちながらも,通常のMMORPGとはまったく異なるゲーム性を秘めた「ウルティマX オデッセイ」(以下,UXO)。 ウルティマ オンラインシリーズを6年以上に渡って切り盛りし,ファンの要望を聞き続けた第一線の開発者達だけあり,プレイヤーに無理をさせないゲームが売りとなりそうだ。 ・ ウルティマシリーズらしい"徳"と"昇天"のシステム UXOで忘れてはいけないのが,ウルティマ オンラインでは実現されていなかった徳システムの実装だ。 プレイヤーはまず,自分のキャラクターに,勇気や慈悲などウルティマワールドに八つ存在する徳を自由に選ぶ。このプレイヤーキャラクターは,徳を積み重ねてレベルが100に達した時点で,第一次上限がやってきて成長がストップしてしまう。 ここで登場するのが,"フォロワー"とも呼ばれる弟子キャラクターである。プレイヤーはこの弟子キャラクターに,最初のキャラクターが習得したもの以外の徳を修練させ,その弟子キャラクターの徳がレベル100になれば,さらに二人めのフォロワーを作成する。 最終的には,一人のメインキャラクターと7人の弟子キャラクターを作成するのである。こうして,八つの徳をすべて修練した段階で,プレイヤーキャラクターは「八つの徳を極めし者」として,アバタールのようなデミゴッド(半神)の地位へと"昇天"。レベルキャップが外れ,さらには第二次上限であるレベル160にまで向上させることができるのである。 フォロワーには,人種や性別,職業は関係なく,好きなキャラクターを従えることが可能。もし,フォロワーの一人に深い愛着を感じてしまったなら,そのキャラクターがメインになるようにスイッチすることもできるという。 徳システムは,明らかにシングルプレイヤー系のウルティマシリーズ本編を意識したものだし,昇天システムも第9作のアイデアを拝借している。そういった意味で,ウルティマ オンライン以上に,ウルティマらしい作品であると捉えることができよう。 ・ Odyssey Adventure Systemと呼ばれるクエストシステム すでに当サイトでも何度が触れているが,UXOのOdyssey Adventure Systemと名付けられたクエストシステムは,かなりユニークだ。 まず,ほかのMMORPGと大きく異なるのは,NPCがプレイヤーにクエストを持って来てくれるという点である。通常なら,街へ出かけてクエストを探したり,何かしらターミナルから好みのクエスト情報を引き出すような形式だが,UXOではプレイヤーが何もしていない待機期間中に,突然どこからともなくNPCがやってくるのである。 これがまた本当に"ポップする"という表現がピッタリで,正直あまりリアリティがないのだが,わざわざ特定のプレイヤーキャラクターのためにどこかから走り寄って来るというのもそれはそれで不気味だろう。 これらのNPCには,頭上に,黒字に白のエクスクラメーションマークのアイコンが表示されており,そのNPCをクリックすると,インゲームムービーが始まる。パーティメンバーといる場合は,すべてのメンバーが同じムービーを見ることになる。その間は,まったく行動できないように移動キーがロックされる。 先ほどインタフェースの項で説明を失念していたが,パーティへの参加は,リーダーとなるプレイヤーがチャットウインドウの名前のハイパーリンクから仲間になるための項目を選ぶか,仲間にしたいキャラクターにカーソルを合わせてホールドし,そのまま画面右上に持っていくだけで良い。 ちなみに移動キーは,FPSのようなW,A,S,Dキーとマウスルックの併用となる。 クエストの話に戻そう。UXOのクエストは,既存の多くのゲームのように,A地点に行ってモンスターをやっつけてアイテムを入手,というような単純なものではなく,いくつかのプロセスを経て枝分かれするようになっている。 今回の発表会で見た,Misty Forestのネックレスの中に囚われたデーモンの魂の処置,そしてMt. Boldでフロストジャイアントにさらわれたバーバリアンの救助などは,少なくても二度,依頼者と異なるNPCもしくは本などのオブジェクトを介して進行していた。 プレイヤー(パーティではリーダーに選択権がある)は,そのつどアドベンチャーゲームの会話システムのように,複数の選択肢がある回答を迫られ,それによってイベントの流れも大きく変わる。例えば,悪事を見逃さなければ正義の徳が上がり,身の上に同情して見逃してあげたら慈悲の徳が上がるのである。 プレイヤーは少しでも自分の徳を上げたいから,自分の目的に合わせた選択をしなければならない。もっとも,クエスト自身が自動的にプレイヤーの徳から判断して生成されるということだ。 クエストは最初に受けた時点で始まり,ダンジョンの入り口や扉といった何らかの場所を通過した時点で"プライベートエリア"に突入する。 プライベートエリアは,第三者のプレイヤーに目的のモンスターを横取りされたり,レアアイテム獲得のために順番を待つ"キャンピング"をなくすための次世代MMORPGの(昔からAnarchy Onlineなどは同等の機能を実装していたが)トレンドだ。サーバーの1区画を複製し,プレイヤーとその仲間だけの場所を自動的に作成するのである。 UXOでは,プレイヤーのレベルや参加人数によって,自動的にモンスターの量や強さを調節する能力も持っている。 UXOは,リリース時点で300パターンのクエストを用意する予定となっており,平均して20分から1時間半くらいで完了するほどのものになるという。 ・ 大規模なギルド戦争もサポートするPvPへの取り組み 今回の発表会では,ファン参加によるPvP(対人戦)トーナメントも行われた。5人4組が戦い,生き残ったプレイヤーが決勝戦を行うというものだ。 まだα版以前のバージョンであるためゲームバランスが悪く,ファイアーボールを繰り出せるメイジ系のキャラクターが必ず勝つという結果になってしまったものの,観衆は試合中にスクリーンを見ながらエキサイトしていた。 実際ゲームではトーナメントモードはサポートされず,プレイヤーの有志が集まって,パブリックエリアもしくはプライベートエリアで対戦するという形になるらしい。武闘大会のようなイベントが行われても楽しそうだが,そのあたりはRPGの特性を利用して,プレイヤーの口コミで広がっていくのではないだろうか。 対人戦とはいえ,プライベートエリアにはモンスターも存在しており,プレイヤーのレベルによっては強力なモンスターも生成されるはず。現時点では,近くで立ち止まるなど兆発しない限りはモンスターから仕掛けてくることはなかったが,実際に今回のトーナメントでも,弱ったプレイヤーが突然モンスターに襲われて死亡してしまうというハプニングもあった。 気になるのが,ギルド間での大規模な戦争のサポート。まだゲームエンジンのチューニングも行われていない段階では数十人規模での戦争はほとんど試せていないらしく,完成したマップが少ない時点では,どのような仕様になるのかは未定な部分が多い。 しかし,ギルド代表者の間で同意されれば,そのギルドメンバーはすべて参加できるようになるなどの仕様は決められているようだ。 もちろん,ギルド戦争はパブリックエリアでは行われず,指定された場所にテレポートするなどの処置がなされるだろう。 またUXOは,ギルド仲間やフレンドリストに登録されたプレイヤーのもとへは,瞬時に移動できるようなテレポート機能を装備する。わざわざ仲間のところへ30分かけて歩いていくというのは,ただの時間の無駄だと考えられたからだ。MMORPGのシステムとしてはどうなのかという疑問もあるし,死にそうになったら別の仲間のところへ瞬時移動して体力を回復させて戻ってくるというような裏技も憂慮される。ゲーム世界の現実味が壊れないように処理してもらいたいものだ。 戦利品や不用アイテムを管理するギルドハウスなどは現在のところ用意されていないが,個人で銀行を利用してアイテムを保持することはできる。 ギルド専用ロゴなどは,各クライアントへアップロードしなければならないことから実現は難しいと思うが,当サイトで公開されている画面写真には,UXOのロゴをあしらったマントを着たキャラクターの姿も写っている。どのゲームでもファンの要望が高いことなので,実現する可能性もあるのではないだろうか。 ・ UXOは,今後も成長を続ける! さて,ここまで詳しくレポートしてきたが,やはりウルティマ オンラインでウルティマワールドに足を踏み入れたプレイヤー達は,何か物足りないと感じている人も多いのではないだろうか。"生産"と"持ち家"である。 残念ながら,木や鉄鉱などのリソースを利用した生産は行われず,釣りや調理,裁縫といったウルティマ オンラインではお馴染みのスキルもない。ただし,開発者の話では,すでに拡張パックなどで生産と持ち家を可能にすることは前向きに検討されているとのこと。このあたりは,来年初頭の発売に間に合わせるために,製品版の機能としては先送りされたのだろうか。重要な部分では,プレイヤー同士のアイテム売買を円滑にするためのバザーシステムも,リリース後に対応していくということだ。 しかし乗馬やペットなどは,UXOで実現される可能性は少なさそう。さらに,UXOではサーパンツホールドやバッカニアーズデンなど,ごく少数の地形がカムバックすることになるが,移動手段はムーンゲートを通じてのみで,船を使った航海もできないようになっている。 ウルティマワールドといえば,もう一つ重要なのが,オーダーとカオスの凌ぎ合い。ブラックソーンに代表される"アンチ・アバタール"もなくてはならないが,これもファンのラブコールが高く,いずれはサポートされそうな気配だ。 ウルティマの世界観を利用したMMORPGということで,どうしてもウルティマ オンラインの続編であるということを意識してしまうが,シニアプロデューサーのリック・ホール(Rick Hall)氏は,「ウルティマX オデッセイは続編ではなく,姉妹品と見てほしい」と語る。 彼の言葉通り,UXOはウルティマ オンラインとは違う,アクション重視の爽快なRPGとしての位置付けで捉えたほうが良さそうだ。もっとも,開発者達はウルティマシリーズの生みの親であるリチャード・ギャリオット氏が去ったあとのウルティマ オンラインを切り盛りしてきた実行部隊達で,MMORPGのノウハウは相当蓄積しているはずだ。 5回に渡ってお伝えしたUXOの特集は一旦これで終了するが,このあと,リードデザイナーとしてUXOを手掛ける,ジョナサン・ハナ(Jonathan Hanna)氏のインタビュー記事を掲載する予定だ。(奥谷海人) →「ウルティマX オデッセイ」の公式サイトは,「こちら」 →「Ultima X:Odyssey」(英語版)の公式サイトは,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」の正式発表の第一報は,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」の正式発表の第二報は,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」の正式発表の第三報は,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」の正式発表の第四報は,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」のScreenshots集は,「こちら」 →「ウルティマX オデッセイ」の当サイト内の記事一覧は,「こちら」 (C) 2003 Electronic Arts Inc. All rights reserved. |