[E3 2002#96]あのカルト映画のゲーム復刻版「The Thing」 | - 05/30 20:54 |
|||||||
|
「The Thing」はシングルプレイヤー専用のアクションアドベンチャーで,1982年のホラー映画を元ネタにした作品だ。日本におけるPC版のリリース情報は不明だが,欧米では映画の版権を保有するVivendi Universal社(Sierra Entertainment社の親会社)によって,PS2版,Xbox版,PC版の販売が決定している期待のタイトルである。なお,今回のVivendiブースでは,残念ながらPC版のプレイアブルデモ公開はなかった。 ちなみに,ちょっとややこしいがカーペンターの「The Thing」は,1951年にハワード・ホークスによって制作された初期SF特撮映画のリメイクである。物体Xとは,南極に不時着した謎の地球外生命体で,地球の生命に寄生して,しばらくの間はその意識をコントロールしながら共生する能力を持っている。カーペンター版では,カート・ラッセル演じる元陸軍兵のマクレディーやドクター・クーパーら12人すべてがエイリアンの侵食を受けている可能性があり,雪と氷で閉ざされた基地で生死をかけたサバイバルが行われるのである。 ゲームは,プレイヤーキャラクターの後方にカメラを据えた三人称視点で行われる。プレイヤーは,軍部によって編成されたレスキュー隊の一員として,南極の観測基地でいったい何が起こったのかを調査におもむく。四人チームのリーダーとして,仲間を編成できるが,ゲーム中に誰がどこで物体Xに取り付かれるかは分からない。ストーリーやイベントも,プレイヤーがコンタクトを取った仲間との会話や行動で変わっていくので,プレイするたびに違うことが起こり得る。マルチエンディング方式ではないにせよ,ストーリーの全貌を把握しようと思ったら,何度かプレイしなければならないのかもしれない。 本作では,一体誰を信じてよいのか分からないという疑心と恐怖が重なり合った心理をゲームに組み込んでいる。プレイヤーの指揮下に参加するNPCだって,突如プレイヤーの背後で変異してしまうことだってあるだろう。会場のデモムービーでは,おそらく序盤のシークエンスのようで,基地外部からのプレイを見ることができた。冒頭で,いきなり二人の仲間のうち一人がエイリアンに寄生され,二人めは敢えなく餌食になってしまう。プレイヤーは,そのエイリアンを仕留めると,基地の外側にある階段を上っていき,天井部分の穴の開いた部分から手榴弾(もしくは火炎瓶)を投げ込み,下の部屋にあったガソリンのドラム缶もろともエイリアンたちを焼却するというものだ。 また大きく注目したいのが,チームメンバーやエイリアンの思考ルーチンだろう。キャラクターには,Fear(恐怖)とTrust(信用)メーターというものがあり,キャラクターが恐怖を感じると,メーターのレベルが下がって色が変わるだけでなく,キャラクター自身も恐怖におののく姿で表現される。たじろいだり失禁してしまうこともあるそうだ。しかし,さらにひどい状態になると,錯乱して突然プレイヤーを攻撃してきたり,激しく攻撃的な行動に出たりもするようになる。本作ではキャラクターを率いてエイリアンを蹴散らすだけではなく,仲間と話し合って信用を得るなど,映画さながらのリーダーシップが要求されることになるだろう。 エイリアンも,プレイヤーの攻撃を避けようと机の向こうに身を隠したり,仲間と連れ立ってプレイヤーの一団を襲って来たりする。武器も基地内に豊富にあるわけではなく,横たわっている死体から回収したり,上記のガソリンのように,使えるものは使わければならないのだ。PC版の発売時期は,欧米では8月以降を予定している。シングルプレイヤー専用ゲームながら,ほかのNPCキャラクターとの心理的な駆け引きが楽しみなゲームになりそうだ。(Okutani) |