「Homeworld」を開発したRelic Entertainmentの最新作は,マイクロソフト(日本での発売は不明)から年内発売が予定されているリアルタイム戦略ストラテジーゲーム
「Sigma:The Adventures of Rex Chance」である。タイトルになっているギリシャ語の"Σ"が「組み合わせる」という意味を持っているように,このゲームでは,
動物たちをDNA配合することで,敵よりも能力のある新種を作り出して戦わせるのが目的だ。
1930年代を舞台に,新進気鋭のレックス・チャンス博士が世界制覇を目論むマッドサイエンティストの野望を食い止めようと,南海の島で新種生物たちを使って戦い合う。映画に例えるならインディ・ジョーンズやワイルド・ワイルド・ウェスト風の時代設定だ。登場する動物たちは,ライオンやゴリラといったものから,サイ,キリン,コウモリ,果ては電気ウナギやテッポウウオといった水中生物まで50種類以上が用意されるという。これらの動物はゲームの途中で捕獲し,いろいろと実験を繰り返しながら,高性能な配合種を作り出さなければならない。
今回のE3では,以前公表されていたようにメイン画面で直接新種を開発していくのではなく,専用のウィンドウを使うことが分かった。それぞれの動物は,頭,胴体,手,足,尾,羽根などのパーツに分かれており,そこから対戦効率の良い生物を作り上げるわけだ。例えば,攻撃力の強い頭部を持つサイと素早い足のチーターを掛け合わせたりできるし,さらにスピードが半減するが,そこに物を投げる長距離攻撃を備えたチンパンジーの腕部を組み込んだりといった具合。一度新種を開発すると,それを命名して登録しておくことで,次からは1クリックで生産できるようになっている。
もっとも,ゲームバランスを保つために環境保護のアイデアを盛り込み,ゲームに存在する個体数は制限されている。つまり,一度に捕獲し過ぎたためにトラの数が激減し,再び充分な個体数になるまでには時間がかかるようになる。逆にいえば,これをマルチプレイヤーモードで逆手に取り,
敵に使用させないように故意に絶滅させるというような手段も使えるだろう。シングルプレイヤーモードでは,ミッションが進むにつれて新しい生物が登場したり,鳥類を捕獲する技術を開発できるようになるなど,少しずつオプションが拡大していくことになる。
興味深いのが最大8人のマルチプレイヤーモードで,いつも自分の好みの生物が登場するとは限らないため,マップによっては簡単に負けてしまうこともある。つまりは,このゲームにおけるマルチプレイヤーモードは,
自分の持つ配合種がどれだけ通用するかを試すような意味合いが強く,かなり「モンスターファーム」のような雰囲気が強い。実際デモを見せてくれた開発者も,「2人での対戦は,短いものなら10分,長くても30分くらいのゲームになるだろう」と話していた。
ゲームに登場する資源は,新種開発に必要な鉄工と電気。これらを採集する建築物は,原住民によって建築されるほか,レンジャーがジープに載ってエリアを探索し,動物を見つけ出すことも必要となる。十分な捕獲技術がなければ猛獣を確保できないため,研究開発も重要な要素となっているのだろう。ゲームエンジンの技術力も高く,岩や水面に施されたバンプマッピングや配合種のテクスチャーの合成なども美しい。また,それぞれの個体種には70に及ぶパラメータが用意されているため,ゲーム全体で数10万パターンは確実にあると見られ,配合を思考錯誤するだけでも十分面白味があるだろう。
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